漫画感想2020年7月号
こんにちは、ているです。
やっと梅雨が明けて夏っぽい気候になってきましたね。ありがてえ~。
さっそく7月に読んだ漫画の感想を書いていきます。例によってネタバレするかもしれないのでご注意ください。
雨でも晴れでも(1) / あらた伊里
待ちに待ったあらた伊里先生の新作……いや、実は完全新作というわけではなく、同作家の「とどのつまりの有頂天」って漫画のリメイクなんですよね(巻末にも書いてあります)
舞台設定自体は女の子たちがちょっとマイナーな部活をやるというきらら系みたいなやつなんですけど、キャラクターが非常に濃く、ギャグのテンションが高く、それでいて女女恋愛描写も濃い、というのが推しポイント。
まあ、これらはあらた伊里先生の作品全般に言えることで、「総合タワーリシチ」から追っていますがずっと変わっていません。あ、こちらもおすすめです。
話を「あめはれ」に戻しますが、メインカプの美古都と蓮はなんと言えばいいのか、わかりやすく説明ができないのですが、お互いのことをこれでもかと意識しているし傍から見ても両想いだとバレバレなのにそれを恋だと自覚してるのかしてないのかというモヤモヤ系。
「あめはれ」1巻では最後にやっと「これが恋だとしたら」と自覚するのですが二人の感覚はすれ違っていて、その恋、いったいどうなってしまうんだ……!!!!ってなってます。今。
そして、主人公を取り巻くキャラたちもみんな百合カプなのがこの作品のいいところで、「昭和歌謡レコードが好き」という以外にまるで共通点がなく喧嘩ばかりしている辺銀(苗字)と獅子丸(苗字)はいわゆるケンカップルですね。今んとこ恋愛にはなってなさそうだけど今後はどうなるのか。
もう一組のカップル・タクよぞは、おそるべき行動力の持ち主でハイテンションなのに病弱なタクヤと、弱気で優柔不断で年中寝袋に入っている夜空という、これでもか!とキャラを濃くした二人のカプ。この二人は幼馴染なのでそういう空気感が良いです。「あめはれ」時空ではどうかわかりませんが、たぶんこの二人は付き合っています(「とどつま」では明確に交際しているという設定でした)。1巻巻末の描き下ろしでこの二人のエモい過去話が描かれていて最高でした。どうにもならないと諦めている攻めを普段は弱気な受けが攻めと一緒に居たいがために叱咤するのがエモくないわけないじゃん?
ちなみに「とどつま」と「あめはれ」の違いですが、導入だけ一緒であとの展開はわりと違っており、雰囲気も全体的に「あめはれ」のほうがシリアスになっています(作者Twitterでも1巻あとがきでもそう書かれてますが)。
なので、「とどつま」を読んでなくても全然OK。まあ、個人的にはこういうリメイクが行われるという現象が稀なので、両方買って違いを楽しんでみると面白いかもと思います。
「とどつま」と「あめはれ」で間違い探しするのめっちゃおもろいな。 pic.twitter.com/zKXY2lO8IX
— 狭山ている (@tailtaling) 2020年7月17日
これは導入部の全く同じ構図のページを並べてみたもの。フォントや影の付け方なんかの細かい違いが見えて楽しい。
なんかこう、「これ!」っていう衝撃的な感じではないんですけど、とにかくギャグセンスが良くていろんな百合も浴びられるので、読んでて楽しいのは間違いないです。おすすめ。
ゆりでなるえすぽわーる(2) / なおいまい
百合妄想をして溶けたり、妄想と現実のギャップに衝撃を受けたりする漫画第2巻。
1巻の感想はこちらにあるので、大体の説明はそちらを参照していただければと。
個人的に大好きな「男をとっかえひっかえしてきたビッチが一人の女を恋愛対象として意識した途端に相手を大切にしすぎて何もできなくなる」系の話がひとつあって悶えました。
あとはこれ。
しかもこれ現実でもタバコ・ゴスロリ・強い女というサブカルオタクガン刺さりカプだったんですよね……神……
本筋の話では、死んでしまう(男と結婚する)ことを受け入れている駒鳥に「死んじゃやだ」と思いを打ち明けた雨海を見る駒鳥の瞳が「百合を見ているときの目」になっており(普段は目が死んでる)、それについて駒鳥の内心こそ語られなかったものの、なにか雨海に対する感情が動いているのでは……と深読みしちゃったり。
ところで、今巻にはデビュー時(でいいのかな?)の読み切り漫画「カレーを食べるふぁむふぁたる」が掲載されており、それもまた良かったです。
なおいまい先生、ここぞ!というシーンでの表情のセンスがすごい良いんですけど、特にこの一枚はすごかった。「好きな人の陰口をみんなが言い出したんだけど和を乱すことができなくて自分も乗っかってしまった」ときの表情なんですけど……
この……キャラクターの複雑な感情がダイレクトに伝わってくる感じ……マジですごい。僕は表情のオタクなので(?)こういうのをどんどん摂取したい。
ハロー、メランコリック!(2) / 大沢やよい
これTwitterで「ハロメリ 2巻」とかで検索したらたぶんいくらでも同じ感想が出てくると思うんですけど、清楚ビッチと真面目ヤンキーのセフレ百合だ!!!!!オラッ!!!!!!!!ってぶん殴られる巻です。最高。
普段僕は本の帯ってすぐ捨てちゃうんですけど、ハロメリ2巻は「あの日狂ったチューニングのまま、今日もハーモニーを奏でている。」ってキャッチコピーがあまりに良くてつけたままにしてます。
もうなんかこの巻に関しては冒頭で言ったことが全てなのであまり多くを語りません。清楚ビッチに狂わされる真面目ヤンキーが最高なのでよろしくな。
アクタージュ(12) / マツキタツヤ・宇佐崎しろ
千世子、景にプロポーズする。
というのはまあ、拡大解釈なんですけど、かの「飴色紅茶館歓談」の名言「50年後も隣にいてね?」のようなエモみを感じました。
てかカラー扉絵でけいちよがスーツ着てるのめっちゃ良くないですか?顔のいい女がスーツを着るのは最高なんだよな。
そういえば4月に
本誌連載の最新話は件の幼女がけいちよの女女の波動で人生狂わされてレズビアンに目覚める話だって聞いたんですけど本当ですかね???
って話がありましたが、おおむねそのとおりでした。あゆみちゃん……(真相はキミの目でアクタージュ12巻を買って確かめよう!)(いや冷静に考えて過言だけど)
11巻の景ちゃんと対になる表紙、いいぞ。
終末世界百合アンソロジー
ポストアポカリプスと百合は相性が良いと古来から言われていますが、それを実証するように様々な終末百合作品がしのぎを削るのがこのアンソロ。
それぞれに思い思いの終末世界が描かれているので、SFが好きな人にもそこそこ刺さるんじゃないでしょうか。
SFとして良く出来てるっていう意味では岡ぱや先生の「卵の殻を破らねば」が良かったです。でもこれ説明すっとネタバレになっちゃうから詳しく言えないんだよな……
他だと、終末に取り残された少女と市民を管理するAIの百合「Touch me if you can」(田口囁一先生)は「AIに性欲がある」というのが癖に刺さり、
不老不死の聖女の話「トワイライトにおやすみ」(tsuke先生)は一貫して不死の切なさが描き出されていて好きでした。
どれも良作揃いだと思いますが、僕としては「これは!!!」となるほどのものはなかったのでちょっと不完全燃焼気味ですかね。
おわり
という感じで今月は以上ですね。
今月、ちょっと長めに帰省することにしたので8月はほとんど漫画読まないかもしれないし、電子書籍でめっちゃ読むかもしれないです。
チェンソーマン全巻買って読んでみようかなあ。そういえば矢吹神によるTS百合も始まったし、もしかして週刊少年ジャンプが今百合漫画雑誌としてアツい……?