桜が咲いたから桜Trickを読もう ~桜Trickはただの「お色気百合コメディ」ではないという話~

ているです。

3月に入り、だんだん暖かい日も増えてきました。

今年は例年より早く桜が開花したというニュースもありました。すっかり桜の季節ですね。


桜といえば。そう、桜Trick(強引)

原作が去年ついに完結しました。

もう半年ほど前の話になるんですかね。

黎明期は百合クラたちがTwitterで「桜Trick」と一言だけつぶやくという怪奇現象などもあって、

多分、ちょっとした百合ファンくらいでも知らない人はいないのではないでしょうか。

それでも今更桜Trickの話をし始めたのは、単純に僕が語りたいからです。

というのも、前々から思っていたことがあるのです。

桜Trickって、アニメだけ見て満足しちゃった人とか、原作途中で読むのやめちゃった人とかいるんじゃないのか?」

それって、ものすごくもったいないぞ!!!!!

というわけで、本記事は、主に桜Trick未読または未読破の方、アニメしか観てない方に主に見ていただきたい内容となっています。

普通に全巻読んでる百合厨さんもよかったら見ていってね。



そもそもどうしてそんなことを思ったのか

主に、以下の点が引っかかったからです。

  • アニメ版でなぜかやたら強調された春香やコトネの胸
  • 「百合大学」大喜利での扱い

その1. アニメ版でやたらと揺れる胸


アニメ版を観た方なら覚えがあることでしょう。

OP映像のダンスでやたらと揺れる春香たち。

会話の途中で特に意味もなく挿入される胸揺れシーン。(いや、もしかしたらキスシーンのエロティシズムをより高めるためのエフェクトの一つと捉えられなくも……厳しいか?)

もちろん、こういったサービスシーンというのは深夜アニメでは無いほうが稀です。

普通に桜Trickファンでもこういうサービスも含めて好きという人もいるでしょう。その嗜好まで否定するつもりはありません。

ただそれにしたって、きらら系列の作品としてはちょっと異常なくらい揺らしていたように感じます(バリバリ主観で申し訳ないですが……)

まあ、きららの他の日常系作品だとそもそも巨乳キャラが少ないというのも原因の一つかもしれませんけど。

そして僕は思ったのです。

……桜Trickにここまでお色気要素を際立たせる必要があるか?

一応繰り返しますが、別にサービスシーン含めて好きな人をどうこう言いたいわけではないんです。

ただそれよりも、もっと別の魅力にも溢れた作品なのに、そっちがクローズアップされちゃうと、他の魅力・印象が薄れてしまうのでは……と(勝手ながら)危惧したわけです。

もっと言えば、僕みたいに「露骨な男性向け描写があるとそれだけでマイナスの印象を持ってしまう」ような人種が遠ざかってしまう可能性を危惧していたのです。

もしも上記のような理由でアニメだけ観て「なんじゃこりゃ」と原作に触れなかった百合好きさんがいたら、

今すぐに全巻買ってぶっ通しで読んでください。

損はしないはずです。

なお、僕はアニメ版桜Trickも嫌いではないです。キスシーンの濃厚さと甘酸っぱさのクオリティは非常に高く、それだけでも十分価値があったと思っています。



その2. 「百合大学」大喜利での扱い


こちらはあまり覚えてらっしゃらない方、そもそも知らない方もいるかもしれません。

なのでTogetterかなんかにまとめられてないかな~と思って探したのですが、ソースを見つけることができませんでした……

というわけで、もしかしたら僕の被害妄想が生み出した偽の記憶かもしれないので、ここはまあ話半分で読んでください。


「もしも百合について学ぶ大学があったら」というテーマにのっとって行われたTwitterでの大喜利の中で、こんなツイートをしている人を見かけました。

(※もちろん記憶だけなので正確に全文を表現できているわけではありません)

「君のレポートを読ませてもらったけど、君はー……桜Trickが好きなのかな?でもね、この世の百合作品は桜Trickだけではないよ。もしかしたら君はうち(百合大学)向いてないかもしれないねえ」
「えっ、桜Trickも好きですけど、ゆ、ゆるゆりとかも好きです!」
「うーん……やっぱり君は私立桜Trick大学のほうが向いてたかもしれないねえ」

当時(百合姫がまだ少女漫画系統を中心に載せていた頃)、一部の界隈において、確固たる恋愛感情が伴わないゆるめの百合というのはやや軽視される傾向にあったように思います。

実は僕も概ねその風潮に乗っていました。桜Trickの推しCPもコトしずしかありえない」と思っていた、と言えばわかるでしょうか?

今思うと、頭の固いヤツだったなあと、少し恥ずかしくなります。ちなみに今は本編でキスすらしてないかえゆずが最推しだったりします。

さて余談は置いといて、その前提に立った大喜利ツイートが先のものなわけですが、

見事に桜Trickが「軽視される対象」になっていることがわかると思います。

要するに、あの頃、桜Trickは「軽いノリできらきらしてる百合漫画」と認識されていた、と思うのです。


そんなことはないからみんな桜Trickを読んでくれ

序盤はキスをする特別な関係、そしてそれを隠すために色々と起こるコメディ、

そんな雰囲気が先行していたように思います。

ですが、桜Trickの真骨頂は3巻以降、優の姉で前生徒会長の美月から告白された春香が、「『好き』とはなにか」「優ちゃんとの関係はなんなのか」と、今まで曖昧にしてきた部分を考え始めるところから始まります。

確かに春香は優のことが「好き」で、優も春香のことが「好き」。

だけど、春香は自分の「好き」は美月先輩の言っていた「好き」はどこか違う気がしていて。

そんな中で、さらに春香は新生徒会長の澄から、「自分と特別な関係になってほしい」と言われたりします。

そして終盤では後輩からも春香と優の関係についてツッコミを入れられたり……

優はずっと春香の「特別な関係だけど、恋人ではない」という態度にやきもきしたり……

コトネとしずくは将来2人で暮らすために試練を乗り越えたり……

抑えられなくなった楓の想いに対して、ゆずの答えは……

同級生、先輩・後輩たち、生徒会の面々との交流の中で、

春香と優、コトネとしずく、楓とゆず……

それぞれがそれぞれの関係を、少しずつ前進させていく。

桜Trickは、そんな高校生たちの青春と成長の物語なのです。

長い長い8巻ぶんを総括すると当たり障りのないこんな表現に落ち着いてしまいましたが、結末は、まさに百合ものとして最高に素晴らしいものとなります。

この記事を書くために8巻までかいつまんで読み直しましたが、最終巻で視界が滲んでしまって……ああ、桜Trickは最高だぞ!!!!!!!!

要するに

桜Trickを読んでください。

これはただのお色気百合コメディ漫画ではありません。

少女たちの、想いと、苦悩と、青春が、これでもかと詰まっている、最高の感動長編百合漫画です。

というわけで、もう一回リンク貼っときますからね!!

最後に

桜Trick